コーヒー実験室

何℃で淹れるのが美味しいの?アツアツから冷水まで【実験】

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コーヒーは何℃で淹れるのが美味しいのか?

コーヒー実験室「コーヒーは何℃で淹れるのが美味しいの?」

今回は「コーヒーの抽出温度による、味の違い」の実験を行います。
800種類以上とも言われるコーヒーの香味成分、注ぐお湯の温度が高いと、溶ける成分が多くなります。砂糖は高温のほうが溶けやすい、ということをイメージすると分かりやすいかもしれません。
だからと言って、たくさん成分の溶けるアツアツの熱湯のほうが美味しいコーヒーが淹れられるとは限りません。良い味の成分もあれば、味の良くない成分もあるからです。

理論上、良い味の成分を多く抽出し、味の良くない成分を出来るだけ抽出しないようにすれば、美味しいコーヒーが淹れられます。
抽出する成分に大きく関わるお湯の温度は、味の良し悪しが大きく影響することは想像に難くないと思いますが、コーヒー専門家アドバイスや製造メーカーのオススメ、本などの情報では、様々な温度で推奨されています。いったい何℃が良い味なのでしょうか?

それらの事実を調べるべく、条件を揃えて色々な温度で飲み比べしてみます。アツアツから、お風呂の温度、冷水まで、どのような違いが出るか楽しみですね。

【コーヒー実験室】
銀河コーヒーでは美味しいコーヒーを求めて、日々実験や検証をやっています。
コーヒーの本や講習会などで紹介されているもの中には、都市伝説的なことや、明らかに誤ったものもありますので、実際に検証してみることが大切だと思っています。

 

<抽出条件>
・豆は12g
ブラジルサントスNo2(当たりロットを使用します。ハズレは雑味が凄いので。)
中煎り、中挽
・ペーパードリップ(一般的に多い方法でやってみます)
・160cc抽出
・蒸らし40秒
・3投で落ちきらないぐらいの注ぎ方
※温度で透過率(豆への浸透具合)に差がでるため、注ぐ量とペースは適宜調整
・テイスティングの温度
1. 実用性を勘案した淹れた直後
2. 80度
3. 50度
4. 20度
※低い温度でいれた場合は、レンジで加熱

100℃での抽出結果

100℃でコーヒーを抽出沸騰直後の100度のお湯を直接投下。
豆が良く膨らみます!! が、イガイガ・ジャギジャギしたエグミ、雑味がひどく、喉がいたくなる刺激です・・・。美味しくない成分がたくさん溶けてしまうのでしょうか。
温度が落ちてからも、明らかに雑味を感じます。
コーヒーを淹れるのに、沸騰したてのお湯をヤカンから直接淹れたり、湯沸かしポットから直接注ぐのはやめましょう・・・。
シャチョーがコーヒーの淹れ方のコツを聞かれた際に真っ先に話していることですが、再確認できました。

 

95℃での抽出結果

95℃でコーヒーを抽出95℃のお湯。UCCなどの推奨温度です。
豆は、よく膨らみます。味、香りがしっかりしていますが、100度のようなイガイガした雑味はなし。香り(鼻から入るアロマ)も強い。
良く言われるように、低いの温度帯での抽出と比較して苦味を強く感じますが、不快な苦味ではありません。
冷まして温度を落としてから飲んでも、しっかりした味わいでした。

 

90℃での抽出結果

90℃のお湯。この温度も推奨温度として、よく聞きます。90℃でコーヒーを抽出
香りはしっかり出ます。95度より、コクや苦みが若干落ち着き、甘さが前面に出てきている感じです。
初めての豆で、どの温度にしようか迷ったときなど、まずはこの温度帯で淹れて様子を見るのに適した温度だと思います。

 

80℃での抽出

80℃。高温に比べて、ちょっと色が薄くなります。80℃でコーヒーを抽出
苦味がかなり落ち着き、円やか。苦味がおさまった分、酸味が目立ちます。
おちついた香味感や、良質な酸味を楽しみたいのであれば、特に良い温度ではないでしょうか。
実は、シャチョーが好きなのは、この温度帯80度前半。
抽出条件が異なるため実験ルールの違反となるかもしれませんが、豆量を多めにしたり、ゆっくりドリップしてコクを出すと、マッタリして最高です。

以前それを納品先カフェのマスターに伝えたところ、強く同意とのことで採用してもらったことがありました。
・・・・が、年配のお客様から「ヌルいっ!!」と喝をいただいたそうです。ご高齢の方はアツアツを望むケースが多いようで、今ではお客様にあわせて温度を調整しているとのことです。
喫茶shionのマスター、そして喫茶のお客様、また一つ勉強になりました。

 

60℃での抽出

60℃、一般的には注がない温度。豆がほとんど膨らまず、色が結構うすいです。味も濃くありません。60℃でコーヒーを抽出
・・・が、意外と悪くない。良い成分だけが抽出されている、粗挽きでサッと落としたような感じ
同じ濃さでも、水で薄める日本式アメリカンより、よほど美味しい!!
ヌルめだということと、あと蒸気がないため香り(蒸気と一緒に鼻から入るアロマ)も弱いという足りない点もあります。
レンジで加熱すると、薄めではあるが、これはこれでイケると思いました。
ドリップを濃くしたのも試しましたが、良い感じでした。
苦みが好きではない方には、オススメかもです。

 

40℃での抽出

40℃のお湯。
人肌より少し高い、お風呂の温度。これも一般的には注がれない温度帯だと思います。40℃でコーヒーを抽出
蒸らしというよりも、濡らしでした。
粉が水分を吸収しないのでダバダバ落ちて、もちろん薄い。・・・が、これも意外とアリかも。良い成分のみが落ちている感じ
浅煎りみたいに、世にいう一般的なコーヒーではなく、紅茶感覚として飲むのであれば面白いと思います。

 

5℃での抽出

5℃の冷水でコーヒーを抽出5℃、冷たい水です。注ぐと、粉が水を避(よ)けるけるという不思議な感覚。水が粉に吸収されず、粉が水に浮いて、濡らすことすら難しいです・・・。明らかにペーパードリップにはむいていない温度です。
ほんのり茶色い、色水が出来上がりました。もちろん香り(アロマ)はほぼ感じません。

期待せずして飲むと、不味くはなく、好感触。これも邪魔な雑味が出ていないため、悪い味ではないコンビニなどにある「味付け天然水」のように、無味の水では物足りないという場合に飲むというのは十分ありです。
冷蔵庫で抽出するタイプの水出しコーヒーも同じ温度帯なので、フレンチプレスや茶こしコーヒーのように浸漬式(しんししき、一定時間、豆を液体に漬け込んで抽出する方式)の抽出効率が良さそうだと思います。

 

結果発表と結論まとめ

一般に言われる高温では苦味、低温では酸味、ということを確認できました。濃さも含めて好みで調整、豆の特徴にあわせて温度を変えるのも良いと思います。
通常では使用しない60℃以下のお湯(水)では、薄めであるものの、良い成分が抽出されるため、味が良いと感じました。一般的な苦いコーヒーとしてではなく、紅茶感覚で飲むような飲料として十分通用すると発見できたのは予期せぬ収穫でした。

温度別でコーヒーをドリップ・温度によって香味の違いは確実に出る

・高温ほど、味濃く、香り(吸い込む際に感じるアロマ)が強い

・100℃ → イガイガの不快な雑味が強い。やはり沸騰したヤカンや、沸きたての湯沸かしポットから直接注ぐことは、オススメできない。

・95℃ → 濃く、苦味が強め。香りもしっかり感じる。苦味や濃いコーヒーが好きならオススメ。

・90℃ → 90℃より少し落ち着いた感じで、甘みが顔を覗かせる。まずは、この温度帯で淹れると、間違いないのではないだろうか。

・80℃ → 円やかで、苦味が抑えられ、酸味が目立ってくる。まったり飲みたいならコレ。エチオピア(モカ)やダブル・トリプルファーメンテーションなど、発酵時間が長めのフルーティー系酸味を楽しむようなコーヒーにも好相性。シャチョーは、この温度帯でゆっくり濃いめに落としたのが好き。

・60℃ → 抽出したコーヒーの濃度が低く、香りも弱い。一般では淹れない温度だが、良い成分が抽出されているため、日本式アメリカン(お湯で薄めたコーヒー)よりよほど美味しい。濃いコーヒーが苦手な方には十分オススメ。ヌルさを補うなら、抽出後にレンジなどで加熱。

・40℃ → 薄めだが、質は良いので、これはこれでアリかも。浅煎りみたいに、世にいう一般的な苦味も楽しむコーヒーではなく、紅茶感覚として飲むのであれば面白い。

・5℃ → 薄茶の色水。だが、雑味がなく、ほんのり味がしてコンビニの「風味付き天然水」のような感覚で飲むのであれば楽しめる。
効率よく抽出するなら浸漬式(フレンチプレスなど、漬け込んで出す方式)で良いかもしれません。その場合、粉も入ってしまうかもしれないため、気になるなら再度ペーパーフィルターで濾すと良いでしょう。

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